「家電の日立」は過去の話 - 生まれ変わった日立製作所(6501)
株式アナリストの視点から、**日立製作所(6501)**の最新動向についてご報告します。
私たちは日立と聞くと、テレビや冷蔵庫といった家電製品を思い浮かべがちです。しかし、私たちが知る「家電の日立」はもう過去の姿です。同社は数年にわたり、事業ポートフォリオを大胆に転換し、現在は社会インフラやデジタルソリューションを主軸とする企業へと生まれ変わりました。本日、株価が前日比で7.5%高の4,191円と大幅に上昇している背景には、まさにこの変革が深く関わっています。
最先端AI企業との提携が示す新たな方向性
今回の株価上昇を牽引しているのは、対話型AI「ChatGPT」を開発した米国のAI企業、OpenAIとの戦略的提携です。
日立は、OpenAIのAI事業を支えるデータセンターの構築で協力することを発表しました。具体的には、AIが膨大な電力を消費することから、日立が持つ送配電設備や冷却設備を提供し、データセンターへの安定した電力供給を担います。これは、日立が長年培ってきた重電インフラ技術が、AIという最先端のデジタル分野で不可欠な存在になることを意味しています。
さらに、日立が企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する事業「Lumada(ルマーダ)」に、OpenAIの大規模言語モデル(LLM)を活用することでも連携を深めていきます。これは、自社のサービスにAIを取り込み、企業のDXをさらに加速させる狙いがあります。
アナリストの視点:AIインフラを支える日立へ
今回の提携は、日立製作所が家電事業から完全に脱却し、**「AIインフラを支える企業」**へと事業の軸足を移していることを明確に示しています。OpenAIとのパートナーシップは、日立の技術力をグローバルな成長市場に投入する新たな収益機会を生み出すでしょう。
もはや、日立を家電メーカーとして見ていては、その真価を見誤ってしまいます。投資家は、「AIやデジタルソリューションを支える企業」としての新しい姿に注目し、今後の事業展開を注視していくべきです。