1. 何が起きた?
三菱重工業(7011)の株価が前週末比で230円(6.1%)高い4022円まで買われ、6日連続で値上がりしました。
買いの手がかりとなったのは、日本、イギリス、イタリアの3カ国が共同で進める次期戦闘機開発プログラムにおいて、開発を担う合弁会社「エッジウィング」が、3カ国政府機関から46億ポンド(約9,900億円)という巨額の設計・開発契約を締結したという発表です。
三菱重工の株価は、3月に最高値をつけたあと、一時は利益確定の売りに押されて約35%も下落していましたが、今回の超大型契約の発表をきっかけに、再び強い上昇トレンドを取り戻しています。
2. なぜ「買い材料」視されたのか?
防衛予算の拡大という話は以前からありましたが、今回の「46億ポンド(約9900億円)の契約締結」は、投資家にとって単なるニュース以上の意味を持ちます。
① 「計画」から「巨大ビジネス」への本格始動
これまで「3カ国で戦闘機を作る」という構想段階だったプロジェクトが、正式に約1兆円規模の契約として形になり、本格的な詳細設計・開発のフェーズへ移行しました。
これにより、三菱重工をはじめとする参加企業の「将来の確実な売上と利益」の見通しが立ち、中長期的な業績成長への安心感が生まれました。
② 機体・エンジン・電子機器のオールジャパン体制
GCAPは、機体だけでなく様々な分野に日本の技術の結晶が組み込まれます。
機体・統合: 三菱重工業
エンジン・推進系: IHI(英ロールス・ロイス等と共同)
レーダー・電子機器(アヴィオニクス): 三菱電機 今回、大元の機体開発(エッジウィング)が大きく前進したことで、エンジンを担当するIHI(7013)など、他の国内防衛関連株にも一斉に買いが波及することになりました。
③ 「日本産戦闘機」の海外輸出への期待
今回の計画では、2035年の配備に向けて、すでにカナダなどを候補として「輸出先の開拓」を進めていく方針が明記されています。
これまで日本の防衛産業は「自衛隊向け(国内限定)」が基本でしたが、国際共同開発によって海外市場へ大きく羽ばたく可能性が出てきたことも、投資家が将来性を高く評価したポイントです。
3. 今後の展望とまとめ
今回の株価上昇は、3月からの調整売り(値下がり)を一気に跳ね返す力強いものとなりました。
ただし、戦闘機の開発は2035年の配備に向けて今後10年以上に及ぶ超長期プロジェクトです。今回の46億ポンドは3カ国共同の総額であり、すぐに三菱重工1社の利益になるわけではありません。
しかし、防衛費の増額という国策の後押しに加え、今回の国際契約によって「成長の具体性」が証明された意味は大きいです。
直近の下落局面で割安感が出ていたことも手伝い、三菱重工を筆頭とする日本の防衛セクターは、再び株式市場を牽引する主役テーマとして投資家からの熱い視線を集めています。